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三次元CADが世に出て久しいが、昨今では、製造業の厳しいQCD要求を達成するひとつのツールとして、もはや欠かせない存在までになった。ここ東南アジアでも、国ごとの違いはあれど着実に普及してきており、三次元CADを軽快に扱えるスキルは、エンジニアにとっても価値のあるステータスにまでなったと言えるだろう。
しかしながら、最近、少し様相が異なってきている。東南アジアで、欧米などに比して普及のスピードが頭打ちになってきているのだ。つまり、ある一定の企業が、三次元CADを導入したものの、三次元データを設計製造の各場面で使い倒すところまで、なかなか至らないのである。
この原因として、東南アジアの製造業に対する伝統的な「ポジション」が考えられる。たとえば、大方の欧米や日本の製造業は、なぜ東南アジアに進出したり、この地域の製造業と取引をしてきたのか?それは紛れもなく、労働力が廉価なこと、物流、税制優遇の側面が大きい。
それらは三次元CADを利用する設計の場面ではなく、ものを組み上げたり、製造する場面で大きく享受できるメリットである。よって、大部分の外資系製造業は、この地域の拠点には、工場としての機能を持たせており、設計をやっていたとしても、まだ製品のユニットレベルであることが多い。
東南アジアの製造拠点が、単なる価格競争ではなく、独自の競争力を持つ製品を生み出すようなイニシアチブを発揮しない限り、この地域における三次元データ流通の様相も、大きく変化することはないと予想される。コストを追求する組み立てやものづくりには、三次元データは、まださほど重要な地位を占めていない。したがって、三次元CADは大きな需要が喚起できていないのである。
現在、三次元CADの機能を比較してみると、それぞれが甲乙つけがたい豊富なものを搭載してきており、それ自体の差別化は難しい状態だ。そもそも三次元CADは、たとえばアメリカのGEを代表とするような、特定のエクセレントカンパニーの内製設計ツールとして誕生している。自然、その後開発が進められた三次元CADに搭載されてきた機能は、そのような先進的な大手ユーザの声が優先されている。それこそ、航空機や自動車を設計しているような企業群の声であるから、その要求も、大規模な開発チームに対応できるもので、かつハイレベルである。
しかし、製造業のピラミッド構造の中で、元来ものを主体的に生み出していくポジションになっていない東南アジアの製造拠点にとっては、「使い切れない」というのが、率直な感想ではないのだろうか?
東南アジアでの三次元CADベンダーは、価格競争に汲々としているのが現状であるが、それは製造業のグローバルな構造の中で、東南アジアの担っているファンクションが、一皮剥けていないことを象徴しているとも言える。
一方で、ここ数年、大手自動車メーカーを中心に、大規模なデザインセンターをタイやベトナムに設立し、期待する役割を変えていく動きが活発だ。積極的に設計の一部を、東南アジアやインドのエンジニアリング会社にアウトソーシングすることも行われてきているようだ。
製造業に関わるITベンダーも、このような先進製造業の動きに単に追随するのみならず、どのようにこの地域の製造業を発展させていくのか、という命題を考え、提案していくことが、共存共栄につながっていくに違いない。
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